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盆の箱詰め
「これは『盆の箱詰め』と言うんだが」
相棒曰く、盆に帰ってきた霊を詰め合わせて売る商売があるという。妙に品のない金箔貼りの箱は、物好きの道楽用に取引されるそうだ。
「倫理違反だな?」
「当然。で、昨日押収された証拠品がこれ」
開けた瞬間に霊が解放されるため、専門家に任せようということらしい。
「はいはい、検査ね」
技術屋の出番かと伸ばした手を相棒が阻む。
「いや、中身は分かってるんだ」
なるほど、そういうことね。
送り火焚きの仕事の後、残ったおがらに火をつけた。
相棒が箱を開ける。
「まともに迎え火焚いてなくて悪いな。来年は迷わないようにするからさ」
彼の目に映っているものは見えないが、ほんの少しの涙が光っていた。
Twitter300字SS企画参加作2015.08.01 「盆」299文字
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